チーム大石クリニック

「誰でも」「どこでも」「いつでも」という日本医師会の誇る医療保険制度は世界で最も優れた医療制度であると言われています。しかし徐々に進行しながら、就労、住居と種々の問題を起こす依存症に対して、この気持ちをつなごうとしますと、医療保険制度だけでは困難であり、介護保険制度、障害者総合支援法という新しい制度を利用しながら種々の組織を作り、それらの組織が相互補完することで対応しなければ満足な結果は生まれないと、私は考えました。

そして依存症を治療するために大石クリニックが作った相互補完する種々の組織を「チーム大石クリニック」と、我々は名付けました。

1. 医療保険制度

2000年には世界保健機構(WHO)からは総合点で世界一と評価された制度です。

依存症専門外来

2. 障害者総合支援法

精神・身体・知的障害者を支援するために、平成18年に作られた制度です。この制度に基づいて作られた多種類の支援があります。

3. 介護保険

在宅介護に必要な高齢者デイサービス事業所やヘルパーステーションを設立しています。

1. 医療保険制度

2000年には世界保健機構(WHO)からは総合点で世界一と評価された制度です。

診療

大石クリニック

依存症に対して診断、投薬、精神療法、心理検査等を施行します。

主な薬物療法

①抗酒剤(ノックビン、シアナマイド)、②飲酒欲求低減薬、③抗男性ホルモン薬、④向精神薬
治療プログラム

ショートケア

大石クリニック

2~3時間で治療を行うシステムです。多くの精神療法がこのシステムで行います。

主な本人向けの精神療法

①個別精神療法、②集団精神療法、③集団認知行動療法、④内観療法、⑤条件反射制御法、⑥社会的技能訓練(SST)、⑦マインドフルネス認知症法、⑧読書療法

主な家族向けの精神療法

①家族教室、②クラフト

デイケア

大石クリニック

6時間程度で治療を行うシステムです。休職中の方、生活保護を受けている方がよく利用されます。日中時間が空いていると飲酒やギャンブル等の問題行動を行いやすくなります。このようなことを防ぐために、昼食も提供されていろいろな日中活動をします。

主なデイケアのプログラム

①農園作業、②公園清掃、③本読み、④映画鑑賞、⑤作業療法(塗り絵、間違い探し、手芸等)、⑥カラオケ、⑦映画鑑賞

精神科訪問看護

大石クリニック

看護師や精神保健福祉士がご家庭を訪問して、日常生活や療養のアドバイスを行っています。訪問看護で行う内容は多岐に渡りますが、利用者さま一人ひとりに必要な助言・援助・支援を行います。当院の患者さまで、ご本人が希望し主治医が必要と認めた方が利用できます。費用の自己負担分には自立支援医療が使えます。次のようなことでお困りの場合は、ご相談ください。

主なご相談内容

・身のまわりのことや、食生活がうまくできない
・夜眠れない、日中眠気がある、など生活リズムが整わない
・外来通院ができていない、薬が飲めていない
・部屋にひきこもりがちになっている
・患者さまご本人にご家族がどのように対応したらよいかわからない

2. 障害者総合支援法

精神・身体・知的障害者を支援するために、平成18年に作られた制度です。この制度に基づいて作られた多種類の支援があります。
依存症専門外来

計画相談支援

大石自立介護相談室

障害者総合支援法に基づく支援には多くの種類があります。1つの支援だけでは援助には限界があります。このために一般的には種々の支援を利用して利用者を支援します。これらの種々の支援の利用方法の計画を立案し調節する支援で、これがないと障害者支援法は利用できません。障害者総合支援法というオーケストラの指揮者といったところでしょうか。

就労移行支援

わくわくワーク大石

依存症のために無職になった人が就労できるように支援します。具体的には就労訓練、職場体験の場所の提供、職場の開拓、求職活動に関する支援を行い、職場への定着を目指します。
わくわくワーク大石は「就職後6ヶ月以上定着した割合」は厚生省による7段階の評価区分のうちの最上位の50%以上と優れた成績を残しています(令和3年)。

就労継続支援B型

わくわくワーク大石

就労移行支援を利用しても一般企業に就職できなかった人や、定年になって就労の機会を失った人に生産活動の場所の提供や、一般企業に就職する援助をします。わくわくワーク大石の「平均工賃月額」は厚生省による7段階の評価区分の上から2番目で(令和元年)、神奈川県では512施設の中で29番目の平均工賃額でした。また、平均工賃額が高いだけでなく、多くの利用者が一般企業に就労しています。

定着支援

わくわくワーク大石

精神障害を持つ方が一般就労に就いたとしても、その離職率は高いと言われています。様々な背景がありますが、依存症も同様です。これを防ぐために職場での対人関係トラブルなど、円滑な就労継続の障害となりうる状況や対象、出来事に対し、職場と本人の間に入って連絡調整を行っております。わくわくワーク大石の「3年後に職場に定着している率」は80~90%で厚生省の7段階の区分の内の上から2番目でした(令和2年)。
グループホーム

グループホーム

わくわくハウス大石

グループホ-ムとは遠方にお住まいで依存症の治療をご希望の方、身寄りがおらず単身での生活に不安を抱えている方、ご家族が様々な理由で本人の面倒を見ることができない場合に入る寮、寄宿舎というとわかりやすいと思います。チーム大石では、国の指定である共同生活支援を受けたグループホームを運営しています。ただそれだけでなく、管理人の配置は4:1以上と国の最高基準であるだけでなく、365日夜勤の管理人を複数人配置する共同生活援助の中でも最も手厚い体制をしいています。また、共同生活援助単体ではなく、往診、訪問看護(大石クリニック)により定期的な訪問をしていますので、非常に手厚い管理体制ができております。また、施設的にも集団生活の苦手な利用者のために全個室となっています。これだけでなく、横浜市の指定を受けており入所時までに横浜市に住民票がある人の場合には、さらに横浜市より家賃補助を受けることが可能であり、費用面の負担が軽減されます。

グループホームの種類とは

グループホームにはいくつかのパターンがあります。
第1はアパートやマンションを借りてあとは患者さま同士で仲良くやるようにといった民間賃貸のパターンです。費用は一般のアパートを借りる場合と同等ですが、管理人が夜間等にいないと飲酒等のトラブルが発生しやすくなります。

第2は民間賃貸パターンに独自の管理人を配置する場合です。施設利用料を低く抑えますと管理が甘くなり、管理を十分にしようとすると費用が高くなるといった問題が起きてきます。

第3は国の障害者支援法で共同生活援助と名付けられたグループホームの認定を受け、国の費用を運営費にしたり、さらに地方自治団体の援助を受け、このような公的な援助を受けることで費用は安く管理もそれなりにする方法です。

第4は、第3の方法だけでなくさらに訪問看護、訪問介護といった自社の他事業を活用しスタッフをグループホームに訪問させることで、さらに管理体制を十分にする方法です。

居宅介護

大石ヘルパーステーション

自宅等にてヘルパーが清掃、食事、料理等の指導をして障害者の自立を助ける支援です。ときによってはアルコールや違法薬物とヘルパーが出会うことも少なくありません。大石ヘルパーステーションには患者さまにヘルパーの資格を取っていただき、その後も雇用された職員も少なくありません。このために利用者の気持ちもよくわかり、このようなときでも動揺することなく対応できることが多く、喜ばれています。ちなみに、このようなヘルパーをピュアーヘルパーと言って、厚生省も推薦しています。

3. 介護保険

20年前まではアルコール性痴呆のみが依存症では介護の対象と考えられていました。日本の高齢化に伴い、依存症の平均年齢も高齢化し、現在では介護のサービスなしでは対応できなくなりました。このためにチーム大石クリニックも在宅介護に必要な高齢者デイサービス事業所やヘルパーステーションを設立しています。またチーム大石クリニックではこのような施設を実際の訓練できる訓練施設として利用して、その中で訓練したりヘルパーの資格を取得していただき、就労の援助とさせていただいております。

居宅介護支援

大石自立介護相談室

介護を必要としている人が適切な生活支援を受けられるよう、各種介護サービスに関する手続きを代行します。ケアマネージャーが高齢者を支える地域の介護サービス事業者と密接な連絡を取ながら、一人一人の利用者さまとその家族に最適な治療計画を提案します。介護保険サービスというオーケストラの指揮者と考えたらいいと思います。

高齢者デイサービス

大石デイサービス

大石デイサービス寿、大石デイサービスと国から認定を受けた老人デイサービスを2つ設立しています。一般の老人の方も利用されています。これだけでなくどうしてもお酒をやめられないアルコール依存症の患者さまに日中利用していただき、飲酒時間も減少しますので、家族の介護の負担も軽減されるようにしています。また、職業訓練においては、専任の有資格の指導員が未経験の患者さまの実務を経験するのをサポートするだけでなく、ヘルパーの資格を取得するまで指導します。希望者はそのままこの施設に就労できますし、また希望すれば他の施設に紹介もします。

訪問介護

大石ヘルパーステーション

在宅のヘルパーステーションがあります。また、当院で訓練を受けて資格を取得し、ここで治療を受けている患者さまを援助するヘルパーとして活躍するリカバリースタッフも少なくありません。

横浜市認知症初期集中支援事業

医療や介護につながっていない認知症の人や疑いのある人の自宅を訪問し、当院への受診に繋げたり介護サービスの利用支援を行います。平成30年に横浜市から依頼を受け、認知症初期集中支援チームとして相談にあたっています。

4. チームとしての利点

チーム大石クリニックはチームの中に多くの種類の支援を持っています。このために多くの支援の連携が良いのが特色です。このように連携が良く一か所に相談すれば多くの問題が解決する支援を「ワンストップ」と言います。

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1. 脱落する支援がないこと

多くの支援を利用しようとすると、医療のことはケースワーカーや医師と、障害者総合支援法のことは相談支援専門員を通して各々の支援をする事業所に、介護保険のことはケアマネージャーを通じて各々の支援に、連絡を取ります。厚生省の指導では支援を開始したり支援の方向性を見なおすときは相談支援専門員、ケアマネージャー、医師や各々の支援をする事業所が一同に集まって計画を立てる連絡調節会議を行って実行することとなっています。このようにすると確かに良い支援ができることは事実です。しかし実際は連絡会議の開催までに時間がかかるだけでなく、支援者間の日程調整ができず会議に出席ができない支援者が多くなりますので、多くの支援が脱落しがちです。チーム大石クリニックの場合は毎朝のミーティングや、それ以外のときも上下の階に行くだけで連絡は簡単で、支援が脱落することはほとんどありません。

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2. 支援にスピード感があること

20年前に介護保険が開始されたときは関わりのある事業所が一堂に集まって連絡会議をする方針が厚生省より示されました。介護であれば病状は安定しているからそれ程頻回に連絡会議をする必要がないと、当時は予想したものです。しかし20年経った現在では、病状が安定して変化が少ないと思われる介護でもこのようなやり方は時間がかかるのであまり人気が無いのが現実です。そして現在は1つの事業所で行った方が効率がいいと認識され、「多機能」という言葉が出現するようになりました。介護でも病状の変化の早い時に多くの事業所が一堂に集まって連絡会議をやるやり方では病状の変化についていくことは非常に困難です。介護モデルでもこのような現実ですので、さらに病状の変化の速い病気モデルでは「多機能型」「ワンストップ」でなければ病状の変化についていけないので、現在では多機能型が適切と考えられるようになりました。

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3. 適切な援助が受けられること

1つしかサービスを持たない事業所に患者さまの支援を任せますと、他のサービスも利用した方が良い支援ができるとわかっていても、自社の売り上げを守るために自社のサービスばかりを知識のない利用者に勧める事業所が介護保険でも跡を絶ちません。このために介護保険では厚生省は各サービスの利用の比率を公表することを義務付けたり、このような事業所にペナルティをかけますが、事業所の利益に関することなのでなかなか改善しないのが現状です。この点多数のサービスを持つ事業所はどのサービスを利用者が利用しても自社の売り上げになりますので、バランスのいいサービスを提供することが知られています。
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