性嗜好障害の症状
性嗜好の偏りは様々な行動として表れます。以下は当院が治療の対象としている性嗜好障害です。
① 盗撮(窃視障害)
電車内や駅のホーム、商業施設のエレベーター、職場や学校内のトイレなど、同意の無い 相手を対象に静止画や動画を撮ること。大半が下着だが、胸や足などを撮る人もいる。迷惑防止条例違反で検挙される対象。
② 痴漢(窃触障害)
電車内や路上で同意の無い相手の身体に触れること。すれ違いざまに触る人もいる。迷惑防止条例違反や強制わいせつで検挙される対象。
③ 露出(露出障害)
不特定、多数の人がいる場において性器を露出したり性行為を見せつけること。住宅街や電車内で行う人が多い。公然わいせつ罪で検挙される対象。目撃者の有無に限らず罪に問われる。
④ 下着窃盗(フェティシズム障害)
同意の無い他者の下着を窃取すること。住宅街で外に干してある下着を盗む人が多い。窃盗罪や住居侵入で検挙される対象。
⑤ 小児性愛(小児性愛障害)
13歳以下(診断基準上)の子どもに対して性的ないたずらを行うこと。また、身体的接触に限らず、小児を対象としたポルノ画像やAVを集めている人も該当する。当院では対象が中学生や高校生の場合もこれに含めることがある。強制わいせつや児童ポルノ法違反で検挙される対象。
⑥ 覗き(窃視障害)
個人宅や共同施設の風呂場やトイレを覗くこと。軽犯罪法違反や住居侵入で検挙される対象。
⑦ 過度な風俗通い、不特定多数との性行為(強迫的性行動症)
俗にいう性依存、セックス依存症のこと。ICD-11からは性嗜好障害とは別に強迫的性行動症という病名で診断される。性犯罪ではないため社会的な問題にまで至る人は多くないが、自らの性的欲求をコントロールできないことに苦痛を感じており、治療の対象となる。パートナーがいるにも関わらず他の人に性的な刺激を求める、さびしさを埋めるために性行為をする、金融会社から借金をしてまで他者の温もりを求めて風俗に通ったりする、といった人が該当する。やめたいのにやめられないという感覚が精神的苦痛をより強める。
上記以外にも、明確に下位分類に振り分けられない性嗜好障害もありますが、どれにも共通することとして、もともとはこれらの行動が性的な興奮と結びついていること、習慣化するとそれに限らずスリルやストレス解消などの日常的な感情とも結びついてしまう点が挙げられます。
これらのほとんどが犯罪行為であり、やめなければならないと十分に理解していてもやめられない状態に陥ります。