……というのが7年前にホームページを作ったときの挨拶でした。しかしその後はIRの問題もあり、横浜もその候補都市として毎日新聞紙上を賑わすこととなり、私自身もアメリカやシンガポールにあるカジノの施設を見学にいく有様です。 また、ゲームへの依存については正式病名も決定し、ほぼ世の中に周知された様に思います。
30年前には精神科の医療機関が入院施設を持っているとそれだけで患者さまが受診を嫌がることが多く、入院施設を持たない外来専門のクリニックであることに私は強いこだわりを持っていました。しかし最近の患者さまは変化しました。患者さまのこのようなこだわりは薄れたように思います。
外来治療は早期受診、早期治療は入院や施設に比べて絶対的に有利であるのですが、弱点としては重症の患者さまに対応しづらいということでしょう。外来、デイケア、就労訓練、訪問と外来治療も進化し、重症の患者さまへの対応は過去とは比較できない程進歩しました。しかしながら当院には他県から治療を希望する患者さまも多く、生活環境に問題のある患者さまも少なくありません。自分としては生涯にわたって入院施設は持たないと決断して開業したのですが、このような状況のために重い腰を上げてグループホームを設立しました。その結果、従来の外来治療では非常に困難であった患者さまに対応できるようになりました。
グループホーム以外にも、対象がDV加害者、ストーカー加害者と広がっていき、人間関係に問題を持つ患者さまを毎日診察するようになりました。またこれだけでなく、依存症の基本的な治療方針にも大きな変化がありました。従来は重症の患者さまを治療することのみを考え、断酒や自助グループといった治療法が基本的な治療でした。しかし早期治療、予防が病気の治療の基本であることはどの疾患でも同じで、依存症も他の疾患に後れを取る事約50年、診断基準も変化し軽症の患者を診る傾向が明らかとなり、節酒といった従来では口にもできなかった治療法が現れ、節酒のための薬剤も出現し、断酒、自助グループの治療は大きな変化のポイントを迎えたのかもしれません。
院長 大石雅之
昭和54年4月:同大学麻酔科にて研修麻酔科標榜医
昭和56年4月:同大学精神神経科に入局、医学博士、精神保健指定医
平成3年4月:栃木県立岡本台病院の診療部長を退職し、横浜市中区で大石クリニックを開業。